五回忌
日乃さんの作品のカルクマン師は我家では悪の権化と成り果てておりますが、我家のお人形さん達の間でもその脂っこいエネルギッシュな魅力はひたすら異彩を放っております。
主に真面目なリエさんがカルクマン師の一番の被害を蒙っています。生みの親の命日である今日、彼は一人でバイクで出掛けてゆきました。
なお、カルクマン師が身に付けているダブルのライダースジャケットと革パンツは水神商事さんの作品です。
海の見える墓地のある丘の下でバイクを止めるとカルクマン師はバイクを降り、丘を見上げます。
何の言葉を発することもなく丘の上を見上げること五分くらいだったでしょうか。
カルクマン師はバイクに跨がり、丘の上へと軽く片手を上げるや、また元来た道へと走り去ってゆきました。
遠くの物陰からカルクマン師の一部始終を見つめていた少女達がいました。
シスター・リエと彼女に頼まれてここまでリエを連れてきたフローライトでした。
この場所に着いてから二人はカルクマン師が来るまで、また彼がここにいる間一言も言葉を発することがありませんでした。
カルクマン師が立ち去ると二人とも無言のままバイクに跨がり、墓地の丘を後にしました。
彼ら３人が来る前と同じく、静かな墓地の丘は緑に包まれて風のそよぎを受けて広がっています。
檸檬児
'2008-7-11