お出かけの朝
今日は従姉妹のシンシアの家に泊まりがけのお出かけです。シャルルは新しい服を今着替え終わって迎えの車が着くのを待っているところです。
ほたるは着付けを手伝い終わっても椅子の背に寄り掛かってシャルルを見ています。
「ほたる、嬉しそうだね」
「ぼっちゃまがカッコいいからです。とてもお似合いですよ」
シャルルは下を向いて話題を変えます。赤くなった頬をほたるに見られないようにするためです。
「僕、シンシアって苦手なんだ。意地悪で」
「あら、シンシア様はぼっちゃまがお気に入りのようですよ。ぼっちゃまがお泊まりにゆく時の為に、同じ柄のパジャマを揃えてとお願いしたのはシンシア様ですよ」
「あれって恥かしいんだ、女の子とお揃いなんて。それにシンシアってすぐ姉さんぶるし。新しい服を買っては僕に着せたがるんだ。きっと僕を着せ替え人形か何かと思ってるんだ」
「でも、ぼっちゃまも嬉しそうです」
「ほたる！」
「はい」
「ほたるも着替えるんだろ、一緒に行くんだから。もう用意したら」
「はい」
ほたるはクスクス笑いながらメイド部屋へと去って行きました。まだ車が来るまでには30分近くあったのですが。
シンシアの家で家族への挨拶も終わって、２人はシャルルの泊まる部屋に通されました。
「シンシア様も嬉しそうでしたね」
「うん、夕方にはシモーヌさんも戻ってくるし、一緒に遊ぶ約束をしてるんだ」
シャルルの帽子と上着を脱がせながら、ほたるは尋ねます。
「レイフさんもお見えになるのでしょう？」
「リエさんと一緒に来るんだって。前に来た時にバイクの後ろに乗せてもらう約束をしてたんだ。今日は乗せてくれるかなあ」
レイフがバイクのリアシートに妹のリエさん以外乗せないと言うことを知っているほたるは、ちょっと複雑な表情を浮かべました。
「そうなるといいですね」
「でも、シンシアもバイクに乗せてあげたいなあ。僕が大きくなったらバイクや車でシンシアをどこにでも連れてってあげるのに」
「そうですね」
「じゃ、ちょっとシンシアんとこ行ってくるね」
元気に部屋を飛びだしていったシャルルを、脱いだ上着を畳みながらほたるはじっと見送ります。
同人サークル「瀬」
檸檬児
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'2001-11-16