仔猫のシェスタ
「きゃ！ 先輩、いつからそこに？」
「あ、起こしちゃった？ ごめん」
天気のいい日のお昼ご飯の後で、ほたるちゃんは校舎裏の植物舎の土手で一人でうつらうつらするのが好きでした。
今日もお昼寝していたら、ふと隣に人の気配がして目覚めました。
上級生の貴更さんが隣に座って自分を見つめていたのです。
「ちょっと前に来たらほたるちゃんが寝ていたから見ていたの。ほたるちゃんもここにはよく来るの？」
「はい、おひるの後で・・・て、わたしもって、先輩もよく来るんですか？」
「うん、つまんない授業の時はここでゴロンってしてる」
「わぁ、先輩って、不良」
貴更さんは笑って答えません。そのかわりそっとほたるちゃんの前髪を撫でてくれました。
まるで猫を撫でているような手つきです。
ほたるちゃんもまるで猫のような丸い瞳で貴更さんを見上げています。
「お休みなさい、まだ時間があるわ。あたしが見ていてあげるから」
貴更さんは含み笑いをしてささやきます。ほたるちゃんは頬が赤くなりそれ以上貴更さんを見つめるのが恥ずかしくなっていたところでした。その言葉にコクンとうなずいて身体を伸ばし、目をつぶりました。
貴更さんが隣で身体を伸ばす気配がし、やがて静かな寝息が始まりました。
さやさやと風が肌を撫でてゆくのを感じながら、ほたるちゃんはこれからも晴れた日には貴更さんと一緒にお昼寝がしたいと思いました。
だけど、頬がほてって胸がどきどきして、ほたるちゃんは眠るどころではなかったのです。
同人サークル「瀬」
檸檬児
目次画面へ戻る
'2001-7-9