pomp

灯油ポンプ

2020年1月24日：

　家人が灯油をドラム缶から補充のための手動式ロータリーポンプのハンドルが回らなくなったと言います。
　もう何十年も以前に買ったものですし、簡単な機構のようですので開腹手術をする事にしました。

　内部の偏心したローターにスプリングでシリンダーの内壁に押し付けられるアルミブロック製の弁が嵌め込まれています。

　この弁のエッジがシリンダーの内壁と摩擦して回転するうちに、エッジがささくれてバリになって先端にこびり付いていました。
　このバリが剥がれて血管の中の血栓のようにポンプの中で灯油の動きに掻き回されて、エッジとシリンダー内壁との間で噛んでしまったというのがトラブルの原因のようです。

　とりあえず内部機構全てイソプロピルアルコールとウェスで洗浄し終わったところで、暗くなったので今日はやめておきました。
　明日はこの弁のエッジのバリをヤスリで落としペーパーで磨いてから元通り組み立てるつもりです。

　問題はシリンダー本体と鉄蓋の間のガスケットです。
　これが無いとハンドルを廻すたびに蓋の隙間から灯油が噴き出します。
　見たところただの薄い紙に見えますが、これを全て綺麗に剥ぎ取ってから新しい紙のガスケットを作って挟めば良さそうに思えます。ただのコピー用紙とかでいいのかしらん？

2020年1月26日：

　ポンプ内部の回転ローターに嵌っていたアルミ製弁のささくれを平ヤスリで削り、その跡を#800 のペーパーで滑らかにしておきました。
　鋳鉄製シリンダーの内壁に接触していた面に付いていた細かな溝はあえてそのままにしておきます。

　鋳鉄製のシリンダーとそれを塞ぐ蓋の両方に液体漏れ防止用のガスケットがぼろぼろになって貼り付いています。
　新しいガスケットに交換せねばなりませんが、残っているこれを全て綺麗に剥ぎ取らねばなりません。ボロボロなだけではなく、屋外での使用中に外周から染み込んだ水で錆まで拡がって強固にへばりついています。

　いくつかの物理的手段を講じた果に、エアブラシ用の強力剥離剤ストロング・クリーナー液を試しました。
　エアブラシ内部で固まったアクリル塗料を剥がしたり、既に塗られて固まったアクリル塗料を剥がすのが本来の用途ですが、模型に塗って固まったエナメル塗料を剥がすだけでなく、その塗料を剥がすつもりで一緒に浸けたプラキャスト部品がチーズのように柔らかくなった、とてつもない浸透力と剥離力を持っています。（空気中で乾燥させるとキャストは元通りの硬さに戻りました）

　溶剤臭がきつく、また室内の照明では光量不足で手元が分かりにくいので玄関のドアを全開にして作業しました。
　今日の横浜は雨天で気温が低かったので作業はきつかったのですが仕方がありません。

　ストロング・クリーナーをスポイトで垂らしNT カッターの歯で削ぐと、今までの苦労は何だったのかと思うほどにペロペロと残滓が剥がれてくれました。

　回転ローターにクリーニングしたアルミ弁をスプリングを介して組み付け、シリンダーの中に仮付してから、取手を付けて廻すと引っ掛かり無くスムースに廻ります。

　後は、シリンダーと蓋との間に新しいガスケットを挟んでボルト締めすれば手術は終了です。
　知人からこの用途に適したガスケットはオイルシールであり、その販売元を紹介して貰ったのでさっそく注文し、後はモノタロウから届くのを待つだけです。
　とは言え、明日から出張が続くので作業はその後からです。

2020年2月2日：

　モノタロウに注文していたオイルシール0.5mm 厚50cmX50cm は出張中に届いていたので、週明け前に修繕の最後の工程に入りました。

　鋳鉄製のシリンダーとそれを塞ぐ蓋の間にオイルシールを挟んで仕上げます。
　蓋の現物を原寸ゼロックスし、外周に沿って切り抜き蓋のサイズの円形型紙を作ります。

　50cmX50cm のオイルシール（ただの紙にも見えます）から外形136mm 内径100mm のドーナツをコンパスで切り抜き、型紙にマスキングテープで裏側から貼り付けます。

　型紙ごと（裏にオイルシールが貼ってあります）事務用の穴開け器で位置決めピン穴、ボルト穴を開けてゆきます。
　本来は該当する直径のポンチで穴を抜くべきでありますが、持っておらずまた夜中に打撃音を立てる訳にもゆかず、紙の穴あけに特化した穴開け器でボルト穴を少しずつ噛みとってゆきました。
　２つの位置決めピン穴だけは穴開け器の一発で充分でした。

　穴開け終了です。
　問題は型紙とオイルシールを固定したマスキングテープ（バンソウコウ？）の粘度が強く、剥がす時にオイルシールの表面を持ってゆこうとするので、剥がす面に息を吐きかけながらそろーっと剥がさねばならなかったことです。

　蓋にオイルシールを乗せ、細かい位置調整も終えました。

　シリンダーに蓋を乗せボルトを少しずつ締め込んで完成です。
　合わせ面同士が粗かったのでオイルシール0.5mm を選んだのですが、やや厚かったかなと言う気もします。
　この下に0.3mm がありますので問題が起こったらそちらに交換します。
　・・・それにしても50cmX50cm の原紙から136mm 直径の円しか使わなかったのですが、残りをどうしようかしらん。

　クランクも取り付け、廻してみるといまだ本作業の際には感じたことが無いほどシュルシュルと小気味よく廻りました。
　これなら他に人手がない時でも老母の腕力でも廻せるでしょう。

同人サークル「瀬」

檸檬児

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