Ａ級増幅ヘッドフォン・アンプ・パーツセットの製作
コミケットで入手した黒羽音響技研さんのＡ級増幅ヘッドフォン・アンプの組立の記録です。
・「微調整」
2010年6月12日：
アンプは一応の完成をみたのですが、電源電力ラインに抵抗器を直列に挿入することには、やや抵抗が残りました。
黒羽音響技研さんに相談したところ、アンプ基板の電源端子の前にプリレギュレーターを追加することをアドヴァイスしていただき、ナショナルセミコンダー社製可変型３端子レギュレーターLM317 のデータシートと推薦回路を紹介していただきました。
単なる抵抗による減圧と違い、積極的に電源リップル減少の効果もあるのが魅力です。
データシートによると、この使用電圧では保護ダイオードは不要なようですが、念の為に付けておきました。
指定のダイオードは廃番でしたので秋葉原の店頭で適当な互換品を選んでもらいました。
アンプ左手側の飾り用だった（笑）放熱器に孔を開け、LM317 を取付けます。
LM317 チップの銅製の下面は出力端子と同一で稼働時には18V が発生します。放熱器は筐体外部に丸出しなのでトラブル防止の為にマイカ、絶縁ワッシャ、シリコングリスで電気的には絶縁して熱結合させます。
３端子レギュレーター出力端子と調整端子間の電圧設定抵抗240Ωはロード・レギュレーション特性を出来るだけ活かすように、とのことでしたのでLM317 端子に保護ダイオードと共に直付けです。
半固定抵抗を乗せる基板を蛇の目基板から切り出して、３Ｐラグ板にランド面でハンダ付けしました。
発想がもう電子工作と言うより、いかけ屋です。エポキシ樹脂接着剤を使うよりは頑丈と思います。
この後、基板の手前の２列もさらに切り落として最小限に小型化しました。
放熱器を側板に取付けるネジを使って３Ｐラグ板付き基板を固定し、基板上に10μＦタンタルコンデンサーと10kΩの半固定抵抗を取付け、３端子レギュレーターの各端子と直近で接続します。
空中配線は真空管回路実装時のノリ丸出しです。
プリレギュレーター回路付き側板を元通りの位置にボルトで固定しました。
実は最初はこの回路に電源ケミコン出力の20V を加えたのに、半固定抵抗のちょっとした回転で出力が17V 台からすぐ19V 台へとジャンプしてなかなか18V に落ち着きません。
ハタと入力電圧と希望出力電圧との電位差が2V しかないことに気付き、電源トランスの二次側をそれまで16V タップに接続していたのを当初の18V タップに接続し直し、プリレギュレーターに加える入力電圧を22.5V まで上げました。
これでプリレギュレーターは安定に動作し、（前ページに紹介したダミー抵抗113.8Ω 接続時）18.0V が得られました。
安定動作を確認後、正規にアンプ基板に接続し、微調整して正規の電圧が供給できるようになり、ようやく懸案事項が解決しました。
音量ボリュームの延長シャフトがアクリル棒だったのですが、どうも回転時の微かなたわみの柔らかさが今一つ気に入らなかったのですが、東急ハンズに注文していた6mm 径ベークライト棒が入荷しましたので、さっそく交換しました。
材質の硬度が増した分、回転時の手応えもより良くなりました。
完成してから１週間経った状況で、棚の中での位置も決まり安定したリスニング環境として落ち着きました。
製作時に意外なまでに手間どった電源周りでしたが、セメント抵抗から半導体回路によるプリレギュレーターに換えたことで、大音量再生時に音の急激なアタックに対して抵抗での減圧ではそれがなまる気配だったものがプリレギュレーターにして抵抗を外したことで消え、アタックに対してストーレートに音が伸びると感じます。
本来はA級増幅回路なので無信号時でも最大出力時でも消費電力は変らないはずなのですが。
反省点という程でもないのですが、現時点でゼロからこの電源問題にどう対応するかを考えてみますと、アンプ本体は小振りのケース（材質のデュポンコーリアンは譲れません）に収納し電源部は外付のオーディオ専用のアナログ電源を使ったと思います。
ちょうどエーワイ電子のエルサウンドが汎用アナログ電源を精力的に発表していますので、ラインナップには載っていませんが18V のものを特注してそれを使っていたと考えます。
現在エルサウンド製のホーンスピーカー専用１Ｗアンプを使っているのですが、その電源部のとてつもない充実振りに、ここの電源ならばと期待を寄せます。
同人サークル「瀬」
檸檬児
'2010-6-23